触れ合うことの大切さ

スマホ、携帯の普及は世の中をとても便利にしてくれましたが、一方で悪い現象も起きています。

月刊致知8月号 山谷えり子(参議院議員)とケント・ギルバート(米国カリフォルニア州弁護士)の対談記事と広島の地方紙中国新聞に畑正憲氏の記事の中に、スマホ、携帯によって失われものが書かれていましたのでご紹介させていただきます。

山谷えり子(参議院議員)
ケント・ギルバート(米国カリフォルニア州弁護士)

 

実感する日本人の変化

山谷:日本に来られて随分経ちますけれども、初めて来日された頃と比べて印象は変わりましたか。

ギルバート:あれから高い建物が山ほど立って古い街並みがどんどんなくなっていきましたけど、物理的に豊かになっていくにつれて、ちょっと冷たい感じがするようになったのは残念ですね。住宅事情もよくなって、勝手に中に入って「ごめんください」って言うわけにもいかなくなりましたし(笑)。

山谷:マンション住まいが増えましたから、玄関まで行くのも大変ですよね(笑)。

ギルバート:かつては無条件で溶け合っていた人の心が少し冷めたといいますか、警戒心が出てきているようですね。皆さん自分のことで忙しくなって、そういうことに心を向ける余裕がなくなっているようにも思います。

ですから九年前モンゴルに行った時には、まるで昔の日本に戻ったようでとても懐かしく感じたんです。まだ国がそれほど豊かではなくて、テレビも大した番組をやっていないし、携帯電話もそんなに普及していないし、結局他にすることがないから、人間対人間の関わり方がとても密なんです。今の日本は他人と接しなくても十分生活が成り立ちますから、随分変わってしまったなぁという感じがしますね。

 

山谷:それでも日本には、まだ自然の美しい風景がたくさん残っていますし、思いやりとか人柄の良さもちゃんと残っています。けれども、核家族や一人暮らしが増えて、さらに携帯やスマホの普及で生活が大きく変わったことで、ケントさんがおっしゃるように人と直接関わらなくても生きていけるような社会なってしまいました。他人の心に踏み込むことへの遠慮みたいなものがどんどん大きくなってきているのは確かですね。やはり、もう一度日本人らしい和らぎとのどけさを取り戻さなければ、個人も国も底力を十分発揮できないと思います。